地元主体のビジョンが先導し、
地域・経済界・行政の共同事業へ
南海電鉄なんば駅前は、関西国際空港に直結し、大阪ミナミの中心に位置する多くの来街者が行き来するエリアです。その南海なんば駅前に広がる「なんば広場」。かつて、この空間は、ほとんどがタクシープールと車道で構成された空間でした。滞留は喫煙に限られ、放置自転車の存在や旅行者の増加による過密など、快適で安心できる環境とはいえませんでした。それが、今では、日常的に人々が滞留し、時にはイベントが行われる広場に生まれ変わっています。
広場化する計画は、2008年に地元発意でスタートしました。現在は多くの観光客が訪れるなんばエリアですが、当時はインバウンド旅行客も少なく、梅田のグランフロント大阪やあべのハルカスなど、大阪市内の他のエリアで大規模開発が進む中、エリア間競争に取り残されてしまう危機感が強く有りました。元々、なんばエリアは、複数の商店街がネットワークされた「歩く楽しさ」に溢れたエリア。駅前を広場化することにより、その魅力をさらに強化し、エリア全体の回遊性を高め、他には負けない魅力的なエリアとなることが広場化の狙いの1つです。また、なんばエリアは治安面に課題を抱えており、街の玄関口である駅前の空間を広場化し、駅前に人々が憩う風景を創出することで、安全安心なエリアとしてのイメージを変えていくことも目的の1つとしてありました。
2011年には本格検討を行う協議会が設立され、2016年、2021年の社会実験を経て、2023年に広場部分が先行完成、2024年になんさん南北通りが完成し、事業全体が完成しました。地元商店街の発意で始まったこの取組は、民間主導で行政や経済界も巻き込み、実現しています。
このプロジェクトの特徴は、下記4点です。
①地域発意を起点としながら、官民連携のプロジェクトへ発展している点
②民間(地域)が公共空間のデザイン・運営管理まで一貫して推進している点
③既成市街地において、企業・地元商店街が連動し、公共空間の運営まで担う点
④駅前の広場と通りにとどまらず、御堂筋やターミナル周辺も含むバス・タクシー・荷捌き車などの大規模交通再編にまで発展している点
広場完成までのフェーズでは、ハートビートプランは、協議会運営支援、ビジョン立案・合意形成、社会実験の企画運営、官民の計画策定、運営面から見た設計プラン・交通規制・荷捌きルール・道路占用・維持管理スキームなどの提案・協議、エリマネ事業計画作成や運営主体組成を行っていました。
広場完成後の現在は、運営方針・体制構築フェーズへ移行しています。広場のコンセプトである『「憩い・出会い・生み出す」大阪発のリアルメディア』の実現を目指すとともに、民間による持続的な運営体制の構築に取り組んでいます。広場運営の社会実験を通して、①安全・清潔な空間を維持するための地域環境保全活動の実施内容、②日常の滞留空間とイベントなどの利活用のバランス・実施方針、③持続的な運営のための財源確保手法を検証しながら、並行して、制度設計・ルールづくり・事業計画策定などの検討を進めています。
その中でハートビートプランは、利活用制度導入支援、広場の運営方針の検討、利活用ルールの構築、事業計画の立案、持続的な運営体制構築のための適切な官民役割分担提案・協議、収益事業(広告など)実現のための行政協議などを行っています。
ハートビートプランは、地元協議会が設立された2011年から民間サイドで関わってきました。地域のみなさま・行政・専門家チームと共に、まちづくり構想から実現、運営にいたるまで、事業全体に一気通貫で関わっています。引き続き、なんば広場により、なんばエリアは世界一「OMOROI」まちになることを地域のみなさまと目指していきます。




