大阪開港、海外からのGATE「川口波止場」
中之島GATEサウスピアは大阪市西区川口にある。この場所は明治に大阪が開港された時の外港「川口波止場」の場所。目の前には居留地がおかれ、まさに海外からの大阪のGATEだった。居留地には、イギリス人,アメリカ人、オランダ人、フランス人、ドイツ人、ベルギー人などが住み、対外貿易の窓口だったこの地は、文明開化の発信地となった。居留地の対岸にある江之子島(現在の水都大阪パートナーズの事務所がある場所)には、その場所の重要性から明治7年に大阪府庁が建設され,その正面玄関は居留地と川を向いて構えられていた。これは大阪の発展は西、海外との交流に向いていたためである。
川口波止場の隣には税関が設置され、大正時代になり港区築港に税関が移転、その後大阪税関富島出張所の保税倉庫として利用されることになる。
下記の鳥瞰写真は2003年3月のもの、まだ保税倉庫が敷地内に建ち並んでおり、入堀も存在する。右の入堀の写真は2004年3月、創生研メンバーで歩いた時のもの。ここがマリーナになったらよかったのに・・・と多くの人が思っていたが、入堀が護岸耐震工事の際に埋められたからこそ、今回の中之島漁港の堤防をまたいで使うプランや維新派の公演が成立したともいえる。
大阪税関富島出張所はその後、2008年に閉鎖され遊休地化。
インナーベイエリアのジェントリフィケーションからの都市再生の提案
2008年7月、「水都ジェントリフィケーション-大阪Triangle構想-」。財団法人関西社会経済研究所から、かつて港湾・産業用地として使われた水辺「インナーベイエリア」が各都市での都市再生の空間戦略拠点として位置付けられており、大阪においてもムーブメントを醸成しながら望ましい土地利用へと段階的に波及していく再生シナリオを作る必要があり、その構想が提言された。水都大阪が対象とする都心部のみでなく、都心部とベイエリアにはさまれたインナーベイエリアの重要性を説いた。
※一般財団法人アジア太平洋研究所サイトより抜粋 「水都ジェントリフィケーション−大阪Triangle構想−」2008年7月
その後2010~2012年にかけて、大阪市において、大阪城~中之島~安治川~海の川筋を「海の御堂筋」と名付け、御堂筋に匹敵する水を中心とした東西のシンボル軸と捉え、魅力あるリバーフロント形成に向けた協議会、基本方針をとりまとめる動きもあった。
水都大阪2009が開催される
水都大阪2009は「市民参加」「継続継承」「アート」がコンセプトになった。数千人の市民がイベントを作る側にたつという初めての機会。府・市。経済界が一体となった取組みで、行政のハード整備と市民や企業の活動やプログラムが総結集する貴重な機会となった。
大阪市中央卸売市場の魅力の活用可能性を探る
2012年2月 大阪商工会議所、大阪市による「水都大阪の新たな観光拠点・調査検討報告」
これをきっかけに、卸などの有志による日曜朝市「ざこばの朝市」が奇数月の第4日曜日に行われるように。
中之島GATEのエリアが初めて登場、新たなシンボル空間として提案される
2012年3月 大阪府による「水と光のまちづくり構想アクションプラン」策定。
水と光のまちづくり構想を受けて、府として2012~2016年度に取り組むアクションプラン。大阪の東西軸と水の回廊の交点であり、大阪近代化のシンボルの場所なのに現在はまったく見捨てられている場所、ここを大阪都心部のGATEとして新たなシンボル空間をつくり、他拠点と結ぼうという提案。これは当時なかなか理解されなかったが、担当者の相当なガンバリで次年度のロードマップ作成や社会実験につながることになる。
※大阪府サイトより抜粋 「水と光のまちづくり推進業務報告書(現状と課題等)」2012年3月
府市共通の都市魅力戦略に中之島GATEが盛り込まれる
2012年12月 大阪府、大阪市による「大阪都市魅力戦略」策定。
世界的な創造都市の実現に向け、都市魅力施策の上位概念となる府市共通の戦略。水都魅力向上のためのシンボル空間エリア創出プロジェクトとして中之島GATEが位置づけられる。
中之島GATE再生のロードマップが官民で共有される
2013年3月 「中之島ゲートエリア魅力創造基本計画案」策定。
第5回 中之島ゲートエリア(仮称)活性化調査・検討委員会にて、「中之島ゲートエリア魅力創造基本計画(案)」が共有される。学識、商工会議所、府市区の関係部署の委員と、地域活動団体・企業、中央市場、交通旅行事業者、舟運事業者などのオブザーバー、計約50人が参加。空洞化するインナーベイエリアの再生は、世界の都市共通の課題であるが、通常の開発では立ち行かない。民間事業者の開発ポテンシャルが極めて低い、複雑な権利関係や規制がかかっているなどの厳しい条件をどうクリアできるか。アートやとんがったテーマでエリアのポテンシャルを可視化したり段階的な規制緩和を行ったり戦略的な取り組みが不可欠となる。新たな水辺のシンボル空間として、民間投資動向に応じた規制緩和や新しい制度設計を行う、公共空間への民間活動導入の新たな推進モデルをつくることが提案された。「インナーベイ・マーケットリゾート」~食のエンターテイメントと水都光の移ろいを楽しむ新・都心の水辺生活~がコンセプト。3ステージからなる事業の進め方が示された。
※大阪府サイトより抜粋 「中之島ゲートエリア魅力創造基本計画案(概要版)」
並行して中之島GATE+水の回廊を回遊する将来像をめざし社会実験が行われる
2012年10月、海と川の結節点にあたる中之島GATEの北側(福島区側)で、オープンカフェや光の演出、小型船係留施設の運営を中心とした社会実験が実施された。主催は大阪府と大阪商工会議所。
水陸一体の魅力拠点をつくる、複数の地域管理の船着場で一時係留ができ回遊できる運用の仕組みを実証する、プレジャーボートや他都市連携の可能性を把握するのが目的。
2012年10月13日(土)~21日(日)の9日間、8,140人の来場者。船舶登録数48隻、33隻186人の一時係留利用者。新西宮ヨットハーバーや関空、堺など広域からのプレジャーボート利用があり、水陸セットの楽しみ方のニーズを確認。
水辺バル2012とも連動し、他拠点と結び、大阪のうまいを舟ではしごする?楽しみ方を体感!
水都大阪パートナーズ発足、中之島GATEを2重点拠点の1つに位置づけ
2013年度より、民主導の水都大阪の推進組織、水都大阪パートナーズが公募され、官民一体の推進体制がスタートした。水都大阪パートナーズは、今までの中之島GATEの動きを引き継ぎ、中之島公園とともに中之島GATEを自ら直営で企画運営する重点地域に位置づけた。
水都大阪フェス2013は、初めて中之島公園と中之島GATEの2拠点をメイン会場とし、両会場を船で結んだり、水辺バルと連動して他の水の回廊の拠点と結んだり回遊の実験が行われた。また、中之島GATEでは、2012年に対象エリアとした右岸(北岸)の対岸の左岸(南岸)を対象とし、長期間にわたる拠点運営のトライアルが行われた。
「中之島GATE FM OSAKA FOOD MAGIC」と題して、個性ある飲食店、ウォータースポーツ、クルーズ、ライブなどを展開し、おおさかカンヴァス事業と連携しアートとのコラボレーションを行った。ラバーダック効果もあり、10月11日(金)~27日(日)の期間実施し、5万人強の来場者、2900人程度の乗船客に利用いただいた。
厳しい立地やインフラ条件ではあるが、コンテンツによっては事業成立の可能性が見出された。
まだまだ続く・・・・
(ひで)
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★中之島GATE関連
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