シゴト, ソノホカ, ニチジョー

ハートビートプラン”さぐりさぐり”プロジェクトvol.0『ことばカルタ大会』

2018年6月20日


6月7日(木)の昼下がり、ハートビートプラン事務所にてとあるカルタ大会が実施されました。

最近大阪上陸したUberEats注文したタイ料理を食べながらカルタ

めくったのはそれぞれ、メンバーの好きな「言葉」が書かれた25枚のカードです。

ハートビートプランのメンバーは5人ですので、それぞれの個性や考え方は、会社の個性や今後に直結するものです。

まずは、お互いについて、会社について、ちょっと遊びながら探ってみよう、そんな試みでこの春から始まった「ハートビートプランさぐりさぐりプロジェクト」。
パイロット版のvol.0として実施したのがこの『ことばカルタ大会』です。

それぞれ5枚ずつ「好きな言葉(単語、センテンス、歌詞、セリフ、誰かに言われたこと、なんでも良い)」を準備し、ランダムにめくり、出てきた言葉について「いいねぇ~」とカジュアルに話をしました。
一応無記名で最初は誰が書いたか分からない状態にしていたのですが、結果的にそれぞれの個性がこれでもかと滲み出た内容となりました!
いくつか抜粋してお送りします。

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【有賀】

ミラーボール

有賀
あー、最初にこれか(笑)僕です。僕好きなんですよね、ミラーボール。煌びやかだけれどもなんとも言えない寂しさがあって。

ミラーボールってそんなにさびしいかなぁ?

有賀
ミラーボールって光ってる所はめちゃくちゃ明るいんですけど、遠くから見たりするとすごい暗いんですよ。それって早朝4時半くらいの歌舞伎町とも似てて、それを見てると、あー生きてる意味ないなぁ、と思う。(笑)「欲望の搾りかす」みたいなものを感じてすごく好きなんです。

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【園田】

「Sorry!The lifestyle you ordered is currently out of stock」
(ごめんね、君の注文したライフスタイルは売り切れだよ)
-Banksy

園田
これはバンクシーのテキストの作品なんだけど、「個性的」とか「面白い」とかをアイデンティティにするのはちょっと違うよなぁと最近思ってた時にみてハッとした。俺は普段「パブリックライフが…」とか言ってるんだけど、形式にこだわるんじゃなくて、もうちょっと素直に生きた方が良いなと思って。(笑)

山田
まぁ「ライフスタイル」って本来は選ぶものではないもんなぁ。ライフがスタイルになるのものですもんね。

オーダーしてる時点で誰かから買うっていうことやもんな。

有賀
これが皮肉っているのは、「ライフスタイル」と言ってる人は結局みんなオーダーしてるでしょ、っていうことだしね。

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【山田】

分かったのは分からないということだけ
-沢木耕太郎「深夜特急」

山田
これ、みんな大好きな(笑)深夜特急の中に出てくる言葉なんですけど、何年も長い放浪の旅を続けて、様々なものを見て来たはずの作者が、長い旅の先でふと気が付いてこの言葉を出すんですよね。読んだときビックリして。えぇっ!分からないんだ!って。でもこういう感覚すごく大事じゃないですか。分かった気にならないというか、最大限想像はして、でも自分の想像の及ばない範囲があるということは認識しておく、そして分からない部分を大切にする、みたいなこと。

無知の知、みたいなやつやね

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【泉】

ゲリラとリーガル

岸本
泉語録!

ゲリラ活動とリーガルを合体させるようなことを大阪とかでやってきたと思ってるけど、この間のワールドツアーで行ったクリスチャニアでも同じようなことが起こっていて、正反対のものが敵対視しながらも裏で握る、みたいなことから面白いことが始まるんだなと。表から見た時には全然違うものが実は融合している、ということに俺は喜びを感じてるんやと思う。

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【岸本】

あちこーこー

岸本
これ、沖縄の方言なんですけど、直訳すると”熱い”っていうことで、基本的には食べ物にしか使わない。この言葉を聞くとみんなでご飯をかこんでいる幸せな風景が浮かんでくるんです。「ほら、ごはんあちこーこーのうちに食べなさい!」とか「あちこーこーにしといたよ」とか。語呂もいいし、かわいい言葉だなぁと思って好きなんです。

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【有賀】

ビデオ屋の帰り
夜の街キレイだった

偶然だれかに
出逢うような気がして
ちょっとドキドキする
-曽我部 恵一『キラキラ』

有賀
この歌詞、めっちゃ好きなんですよね。良くないですか?(笑)この歌詞に僕がまちが好きな理由が凝縮されているし、生きている理由もこれっかもしれないと思う。想像してないハプニングや瞬間がうまれて、それがシェアされてる感じが好きなんですよね。

園田
めっちゃわかる。これが俺が都市にしか住めない理由かも。(笑)

山田
借りたビデオってめちゃめちゃ個人的なものだし、それを持ち歩いている時に誰かに出会う感じ。

有賀
そうそう、もうこの人は家に帰るだけなんだけど。個人的な瞬間に誰かに出会うかもしれないドキドキ感が好きです。

盛り上がってきて写真もブレる

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【園田】

名誉は境遇から生じるものではなく、それぞれが自己の役割をまっとうに努めることにある
―新渡戸稲造「武士道」

園田
なんていうか、この人がこのことを考えた背景がすごいなと思って。キリスト教があることで社会が安定している欧米と比較して、日本には絶対的な宗教がないのになぜ人が人を殺さないのか、という問いに答えるために彼は武士道を書いたんですよね。
宗教ではなく、いわゆる道徳、武士道が社会に根づいているからだという。日本では役割を全うすることで名誉があたえられるみたいな発想は、やっぱり今でも階級社会が根強いヨーロッパとかとは違いますよね。流石五千円札に載る人は違うなーと。(笑)

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【山田】

ああ、若くして詩を作っても、立派な詩はつくれない。詩をつくることを何年も待ち、長い年月、もしかしたら翁になるまで、深みと香りをたくわえて、最後にようやく十行の立派な詩を書くというようにすべきであろう。詩は一般に信じられているように、感情ではないからである。(感情はどんなに若くても持つことができる。)しかし。詩は感情ではなくて―経験である。
一行の詩をつくるのには、さまざまな町を、人を、物を見ていなくてはいけない。
(中略)
しかし、思い出を持つだけでは十分ではない。思い出が多くなったら、それを忘れることができなければならない。再び思い出がよみがえるまで気長に静かに待つ辛抱がなくてはならない。思い出だけでは十分ではないからである。思い出が僕たちのなかで血となり、眼差しとなり、表情となり、名前を失い、僕たちと区別がなくなったときに、恵まれたまれな瞬間に、一行の詩の最初の言葉が思い出の中に燦然とあらわれ浮かび上がるのである。
-リルケ「マルテの手記」

 

山田
長くてすいません(笑)これはリルケというドイツ人の詩人が書いた「マルテの手記」という本の中に出てくる1節です。
詩というのは色んな表現の比喩だと思うんですけど、「感情ではなくて経験である」というのがそうだよな、と思って。ただの一瞬の感情に見えているものが、実は連続した経験の中から導きだされるものだということもある。それから、様々なものを見て、でもその経験を忘れなければならない、というのがすごいなと思って。好きというか、なんというか、自分の人生の指針になるような文章です。

経験を忘れる、という所で言えば、ビジネスでも成功しすぎたら今度はそれを忘れないと、成功体験にこだわりすぎて新しいことが出来ない、みたいなことってあるしね。なんか近いなぁと思いながら聞いてた。

山田
私は昔から、忘れる、ということが不思議で。何で忘れるんだろう?と思って。私は、忘れられたモノが今を形づくっている、そんなことを肯定する作品が好きなんですよね。人は人生を語る時にもにターニングポイントとか覚えていることで語ろうとするけど、実は覚えていない瞬間にも自分がある、今につながるモノがある、そう思うとすごく力が沸くんです。覚えていない世界を感じるって、すごく豊かなことだと思います

有賀
めっちゃ分かります

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【泉】

直感

いやぁ、好きな言葉って言われたから書いたんだけど(笑)

山田
もうそれ自体が直感ですよね(笑)

いろんなことで論理的に考える、ヒアリングする、背景を調べまくる、とか普段からしてるわけだけど、最終的に直感に従った方がうまくいく、みたいなことも沢山あって、俺は何のために考えてるんや…と思うことがある(笑) 直感を信じることが先にあって、あとから理由を付けてるのかもしれないな。そういう意味では、HBPのメンバーはそういう所が似ているのかもしれない。
理由をきっちり作ってこれ良いですねといっても、直感に響いてなかったら全然良くない。直感はその人その人で違うから、戦略的には出来ない部分だよな。今日の言葉かるたみたいなものも、直感に関わってくるのかもしれないしね。

園田
前までは直感で決めても、何が良いのかを説明しないといけないから論文を書いたりしてたんだけど、海外研修に行って思ったのは、あちらの人たちは直感でやりあっているからテレパシーなわけ。いいよね、うんいいと思う、じゃあやろう、ってなる。俺らはいいよね、から、じゃあやろう、まで頑張って理屈こねる必要がある。最近はちょっとむなしくなってきて、あきらめはじめた(笑)直感が通じる人と話を進めていく方がいいな、と思いはじめてます

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【岸本】

でも、スカートの方がほら、裾をさばかなくちゃならないぶん、歩いている実感があるでしょう?
-江國香織「神様のボート」

岸本
小説の中で、お母さんと小さな娘の会話の中に出てくるんですよね。すごくいいなと思って。私もロングスカート好きなのでよくはくんですけど、不便だけど裾をさばいてる感じが、すごく歩いて前に進んでいるという実感があるんです。

山田
スカート=女性らしい、可愛いっていうイメージがあるし、強い女性のイメージって多分ズボン履いてるもんね。でも実はスカートをはいている方が歩いている実感がある、というのは女性の強さとは何か?みたいな問いへの逆転の答えで良いね。

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【有賀】

幽けき(かそけき)

有賀
これはさっきの「マルテの手記」の話にも似てるなぁと思うんですけど、滲んで消えてしまうような情景とか感情とかを「かそけき」っていうんです。この言葉がすごく好きで。さっきの「忘れてしまうことによって形づくられる」というのは僕もそう思ってて、今あるもので物事が形づくられているんじゃなくて、なくなってしまったものの形で今あるものが浮かび上がってるんじゃないかなと思います。だから浮かんで消えていってしまうものとか、忘れて消えてしまうものとか、感情とか、そういうものにこそ本質があるんじゃないかと思う。そういうか弱いものを大事にしたいです。言葉にできるものは全部ウソなんじゃないかと思っています。幽霊の幽ですから、見えているかどうかも本当にそこにあるかも分からない、そんなものが世界を作ってるんじゃないかと思ってるんです。

園田
ちょっと違うかもしれないけど、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の中に「物と物の間に影として映るものを感じとれるものを大切にするのが日本の文化だ」っていう話があって、そういう感覚って日本人にとって独特なものなんじゃないかなぁと。言葉に出来る事は嘘かもしれないけど、それを表す言葉の種類はわりとあるじゃん。かげ、ていう一言でも漢字がいくつかあったり。それはそれで豊かだなぁと思う。

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【園田】

僕が僕であるために、勝ち続けなきゃならない

   -尾崎豊「僕が僕であるために」

園田
初めて聞いたのは小学校の時だったけど、最近なんか分かるようになってきたなーと思って

山田
誰に、何に勝たないといけないんですか?

園田
競争社会で生き残る!みたいな話じゃなくて、何か自分が伝えたい時に、誰かの共感を得たり、受入られたりするためには、やっぱり自分で自分の言っていることの意味を証明し続けなくてはいけないなぁと。伝わらなくてもいいんだ、じゃいけない。そうすることで自分の輪郭がはっきり形づくられていく、みたいなのあるなと思う。まぁ今、必死にこのテンションで生きてるわけではないけれど、これをみると何か思うことがある(笑)

おれはどっちかというと、自分が自分であるためには、自分ではどうしようもない、と諦めてる。他人がどう思うかで自分が形づくられるというか。そんなに意思も強くないし、俺はこうだぜ!ということでは戦えない、という気持ちがある。勝ち続ける、っていうのは意思がいるよね。

園田
どっちかっていうと、確固たるものがあって自分と戦うというよりも、ぼんやりとした状態を形にしていくことを繰り返していかないと、自分自身を確立できない、みたいな気持ちに近いかもしれない。

尾崎と俺、について語る園田

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【山田】

君かへす 朝の舗石(しきいし)さくさくと 雪よ林檎の香のごとくふれ
-北原白秋

山田
好きな短歌なんです。舗石を踏みしめて去っていく彼女に、りんごの香りのように雪よ降ってくれって、目に見える情景を超えて五感や感情に訴えてくるものが壮絶で。その壮絶さをこんなに美しい言葉で表現できるのかと思って、最初にみたときに衝撃を受けたんです。さっき、幽けきっていう言葉が出てたんですけど、私は文学とか好きで、それはたぶん、幽けきものを何とか表現しようとする試みだからだと思います。この歌も風景、音、色、感情とかがないまぜになった幽けき一瞬を見つめているから良いんですよね。

園田
これくらいの想いをもって自分も人付き合いをした方が良いなと思いました(笑)

山田
いやー、一緒にしないで欲しいですね(笑)

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【泉】

自由と責任

この言葉は今、色んな所で言ってるんだけど、小さいころから結構親に言われていたのと、入った学校がこれを掲げてた。「やるのはいいけどケツふけよ」みたいなのを昔から沁み込まされてきたので、ついつい出てきてしまう(笑)これはやり切ろうと思うと結構出来ないんだよな。自由も責任も中途半端なのは嫌で、極端に飛んでる方が良いなと思う。今、狭い範囲で自由も責任もうじゃうじゃしていることが多くて、俺はどちらも極端にやってる方が好きやし、そういう世界が良いものだと思ってる。

山田
やっぱり泉さんは流石、考えと行動と言葉が一致していますね。

高校時代は体育祭の委員とかもやってて、男子校だから騎馬戦が帽子取るとかじゃなくてお互い倒し合う、みたいな過激なルールになっていくわけ。だから当時から先生と、もしケガしたらどうする?みたいな話をずっとバリバリやってたわ(笑)」

真剣な顔で語る泉。顔の陰影とかりゆしウエアのコントラストがすごい。

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【岸本】

お金や物はなくなる可能性があるけど、知識はなくならない。学びにお金をかけなさい
-我那覇ハツ江

岸本
我那覇ハツ江さん、私のおばあちゃんです。うちの母は与那国島という田舎の島の出身で、9人兄弟なんですけど、9人中7人が大学を出てるんですよ。今お母さんが65歳で下から3番目。戦後、沖縄がまだアメリカだった時代に、これだけ教育にお金をかけるのってすごいなぁと思う。みんなパスポートを持たせて、東京の大学に行かせてたらしいです。おばあちゃんは子供に残してあげられるのはお金じゃなくて知識だ、とずっと言ってたらしくて、素敵だなぁと。私もそうしたいなぁと思います

9人中7人って、相当甲斐性がないと出来ないなぁ。俺ら、今できるかっていったら出来ないもん(笑)

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【その他に挙がった言葉】
■分け入っても分け入っても青い山 -種田山頭火【有賀】
■おあいそ【有賀】

■時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。-ミヒャエル・エンデ「モモ」【園田】
■逆だよ。好き嫌いを、はっきりさせるのが大人だろ -ヒキタ クニオ「凶気の桜」【園田】

■「Never bore people,And if you something important to say, wrap in chocolate」(人々を退屈させるな。何か大切なことを言いたいのならチョコレートにくるみなさい) -ビリー・ワイルダー【山田】
■花アルトキハ花に酔ヒ 風アルトキハ風に酔ふ【山田】

■無目的【泉】
■化学反応【泉】

■分からないことを、分からないということを理由に否定しない -NHK「カーネーション」【岸本】
■300%の提案をしても、実現するのは60%位、だから100%じゃなくて300%の提案をしなさい -野原卓【岸本】

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言葉はその人を表す、などとも言いますが、そもそも選んでくる言葉そのもの、選び方の傾向、誰かが出した言葉への反応などの端々に、その人の人生観が現れていて、なんだかとても面白いカルタ大会でした。

普段業務の中では、このようにただフラットにお互いの感性を交換するような場面は多くないのですが、
まちというフィールドで仕事をしたり、ゼロを1にしていくような仕事の根本には、常にみずみずしい感性が流れている必要があるのだと感じます。

ハートビートプランで働くメンバー同士でも、常にお互いの感性を刺激し合える関係でありたい、
さぐりさぐりプロジェクトはこれからも続きます!

(山田友梨)

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